犬の乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍とは…
- 乳腺組織に発生する腫瘍で良性と悪性の比率が50%:50%と言われています。
- 悪性のうちさらに50%(乳腺腫瘍全体の25%)はさらに悪性度が強いものと言われています。
- 雌犬で最も発生の多い腫瘍です。
- 避妊手術をしていない5~6歳以上の雌に発生しやすい腫瘍です。4歳以下での発生はまれです。(平均発生年齢は10~11歳です。)
- 鑑別診断としては乳腺炎や他の組織由来の腫瘍です。
自壊してしまった乳腺腫瘍 |
犬の乳腺腫瘍の症状
- 乳腺にしこり(腫瘤)ができる。
- 写真のように自壊して痛みや匂いを伴うことがあります。
- 通常はその他の症状はありません。(※末期になると転移によるいろいろな症状が出てくることはあります。)
犬の乳腺腫瘍の鑑別と診断
- 一言に『 オッパイにしこりがある 』と言っても乳腺腫瘍とは限りません。他の病気の時もあります。
- まずは*診察で下表のどの病気なのか?おおまかな判断をします。
- *視診・触診・細胞診など
- 鑑別
- 非腫瘍性
- 皮膚病変
- 乳腺炎
- 腫瘍性
- 乳腺腫瘍
- 良性
- 悪性
- 炎症性乳癌
- その他の腫瘍(たまたま乳房にできた他の腫瘍)
- 良性
- 悪性
- 乳腺腫瘍
- 非腫瘍性
最終的にどの病気なのかは手術後の病理組織診断ではっきりします。
- 診察の結果、乳腺腫瘍の可能性があるとなれば手術による腫瘤の摘出となります。
- 最終的な診断は、手術により摘出された腫瘤を病理組織検査にかけることにより確定されます。
犬の乳腺腫瘍の治療
- 手術
- 腫瘍のみの切除
- 単一乳腺切除術
- 部分乳腺切除術(第1~3乳腺、第3~5乳腺など)
- 片側全乳腺切除術
- 両側全乳腺切除術
- 片側乳腺切除術+両側全乳腺切除術の併用
- その他の治療
- 抗癌剤(明らかに効果のある治療法は確立されていない。)
- 放射線療法(効果は明らかにされていない。)
- ホルモン療法(女性ホルモンとの関連がある腫瘍なので試みられているが、今のところ有用な治療法は確立されていない。)